メッセージ 名古屋大学総長 松尾 清一

勇気ある知識人を理念に次世代をリードする博士人材を育成

社会環境が世界規模で変動する昨今。経済の低迷や環境問題など、人類は数多くの難問に直面しています。こうした状況下、地球規模の課題を解決に導き、次代の扉を拓く優秀な人材は不可欠です。しかし残念ながら、高度な専門性を有する博士人材は活躍の場が限られ、せっかくの研究や知識が埋もれてしまっているのが現実です。これはわが国にとって、知的損失にほかなりません。
文部科学省が支援する博士課程教育リーディングプログラムは、博士人材の育成強化を目指す事業です。高度な専門性を究めながらも広く国際社会を俯瞰し、産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーの養成を目的としています。
名古屋大学が学術憲章に掲げる「勇気ある知識人」もまた、専門性が高く、広く社会や人類に貢献する志をもち、コミュニケーション力や俯瞰力を備えた教養豊かな人材です。まさに文部科学省の事業とコンセプトは同じであり、今後も教育力と研究力の両面をさらに強化し、博士人材の育成に務めてまいります。
現在本学は「グリーン自然科学国際教育研究プログラム」「法制度設計・国際的制度移植の専門家養成プログラム」「PhDプロフェッショナル登龍門」「フロンティア宇宙開拓リーダー養成プログラム」「実世界データ循環学リーダー人材養成プログラム」「“ウェルビーイングinアジア”実現のための女性リーダー育成プログラム」と6つのプログラムが採択され、環境への貢献、法分野の国際協力、社会で活躍するリーダーの育成、宇宙科学の発展、情報社会への寄与、男女共同参画社会の実現と、多様な分野で活躍するグローバルリーダーを育成しています。これら6つのリーディングプログラムを一層充実させるため、リーディング大学院推進機構を設け、博士人材育成強化という共通の理念のもと、分野を横断した多彩なカリキュラムを展開しています。
こうした活動は実り、ようやく博士人材の受け入れの地盤はできつつあります。とはいえ私どもは立ち止まることなく挑戦を続け、知の拠点としての期待に応え、さらには人類社会に貢献したいと考えています。

名古屋大学総長 松尾 清一

新しい大学院教育を創出し 高い志をもった若い世代を送り出す。

日本の長い歴史の中で、大学院教育は大学教員の養成という役割が強く、本当にそれでいいのかという問いが常にありました。博士人材が増える中で、就職問題、高度専門能力をもつ人材の活用という点も課題となってきています。こうした状況は必ずしも日本だけではなく、他国でも同様の問題意識を抱えています。
東日本大震災が日本に大きな爪あとを残した2011年。文部科学省は博士人材育成を取り巻く状況を改革し、最高学府にふさわしい大学院の形成を推進するために、博士課程教育リーディングプログラムをスタートさせました。
本学においても6つのリーディングプログラムが採択され、研究領域の垣根を超えた横断的な教育研究体制の構築に向け一丸となって取り組み、教員たちは学生の指導に情熱を傾けています。こうした全学的な展開は功を奏し、時代のニーズに対応した新しい大学院教育のプログラムが育ちつつあります。各リーディングプログラムに結集した学生たちも、大きく成長しています。
名古屋大学の取り組みの大きな特長は、ヨーロッパやアメリカだけではなく、アジア諸国に目を向けている点です。発展著しいアジア諸国の大学や留学生と連携し、共に学び合うことで、人類社会に貢献する高い志を育て、アカデミアの後継者だけでなく、国際機関、民間企業、国公立教育・研究機関等に新しい価値観と広い視野、国際経験、リーダーシップマインドをもった若い世代を送り出していけると確信しています。ぜひ、期待をもって見守っていただきたいと思います。

名古屋大学副総長 リーディング大学院推進機構長 前島 正義

名古屋大学副総長 リーディング大学院推進機構長 前島 正義

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